科学的根拠に基づき、構造と未来を整理します
製薬産業の構造そのものが変わるレベルのインパクト
AI創薬の鍵は「多様で質の高い医療データ」です。マイナ保険証や医療DXは、まさにこの土台を作る国家プロジェクトです。
創薬の3大ボトルネック(ターゲット発見・候補物質・臨床試験)のすべてをAIが加速させます。
検査値、画像、遺伝情報などをAIが横断分析。人間では気づけない「新しい病気のモデル」や発症メカニズムを自動生成します。
「どの薬×どの体質」で副作用が出るか。全国データがあればリアルタイムに可視化され、安全性評価のスピードが飛躍的に向上します。
患者募集やデータ収集の遅さが日本の弱点でした。カルテ連携により「対象者の自動抽出」が可能になり、承認スピードが改善します。
「平均的な患者」への薬ではなく、「あなたに効く薬・量」をAIが予測する未来へシフトします。
技術力の問題ではなく、「現場の構造」と「制度の複雑さ」が原因
英国や北欧は「国管理・単一保険者」でデータ統合が容易ですが、日本は健保組合・協会けんぽ・国保など運営主体が乱立しています。
電子カルテの普及率が低く、小規模クリニックは紙文化。さらにベンダーごとにデータ形式がバラバラ(互換性ゼロ)で、全国統合が困難でした。
「マイナンバーは危険」「監視社会」といった科学的根拠に乏しい感情論が先行し、技術的な議論の前に心理的な壁が作られてしまいました。
医師会、ベンダー、調剤薬局など、データ共有が進むことで「不利になる」プレーヤーもおり、変われない構造が固定化されました。
「安くて質の高い医療」が現場の努力(アナログ)で成立していたため、「今のままでいいじゃないか」という空気がDXを阻害しました。
日本の医療DXは確かに周回遅れでしたが、悲観することはありません。
マイナ保険証、電子処方箋、標準化されたデータ基盤が一気に整えば、
持ち前の「現場力の高さ」と相まって、世界を一気に追い越すポテンシャルを秘めています。