マイナ保険証と「レセプト」の裏側

なぜ暫定措置が「システム的な無理」なのか?
技術的な視点で解説します

🧾1. そもそも「レセプト」とは?

「診療報酬明細書」のことです。患者さんが窓口で払うのは医療費の一部(3割など)だけ。残りの7割を病院が保険者(健保組合など)へ請求するための「請求書データ」です。

🤕 患者 3割支払い
🏥 医療機関
診療・処方
➡ 請求
(レセプト)
🏢 審査・保険者 7割支払い
※ここでコンピュータ審査

現在はほぼオンライン化されており、送られてきたデータをコンピュータが自動でチェックしています。

⚠️2. 「期限切れ」受診の矛盾

2025年12月以降、従来の保険証は期限切れになりますが、2026年3月末までは「使ってOK」というルールになりました。ここで「人間とシステムの認識のズレ」が発生します。

受付の人間

「政府がOKと言ったから、
この保険証を通してあげよう」

⭕️
⚡️ VS ⚡️

審査システム

「データ上、有効期限が切れています。
資格なし=全額自己負担です」

そのままでは、病院が請求したお金が「資格なし」として突き返されてしまいます。

⚙️3. 技術的な「裏処理」の中身

この矛盾を解消するため、審査システム側に「今回だけの例外ルール(パッチ処理)」を組み込む必要があります。

(1) 有効期限チェックのロジック変更

通常のエラー判定条件に、無理やり例外を加えます。

Function CheckValidity(保険証期限, 受診日) { // 通常のルール If (受診日 > 保険証期限) { Return "エラー(資格なし)"; } // ★今回追加する「裏処理」 Else If (受診日 が 2026年3月31日 まで) { Return "特別にOKとする"; } }

(2) 「誰の保険か」の特定と高額療養費

期限切れの番号で送られてきても、バックエンドのデータベースでは以下のような複雑な処理を行います。

🏔️4. シンプルなのは「表向き」だけ

「3ヶ月延長します」という一言は、現場(受付)にとってはシンプルですが、システム側には莫大なコストがかかっています。

🏥 病院の受付・窓口

「期限切れの保険証でも、今まで通りでいいですよー」
(運用はシンプル)

⚙️ システム・審査支払機関(裏側)

  • ✅ 特例期間の条件分岐プログラムの実装
  • ✅ 「準有効」扱いにするデータの紐付け
  • ✅ 後から保険が変わっていた場合の再計算ロジック
  • ✅ 高額療養費の整合性チェック

ここが大混乱&高負荷

🤔5. なぜそんな面倒なことを?

これは、「原則(廃止)」と「現実(混乱回避)」の板挟みによる政治的な解決策です。

結論:
「現場で患者さんを門前払いして大パニックになるよりは、システム側でお金をかけて複雑なつじつま合わせをした方がマシ」という判断が行われた、ということです。